1.接骨院でのスポーツ外傷に対する施術
スポーツ現場では、相手とぶつかることでケガをしたり、使い過ぎ(オーバーユース)により次第に痛みが現れることが多くあります。 そのままスポーツを続けてしまうと、しっかりと治らず痛みが続いたり悪化することもあり、多くの方は接骨院や整形外科病院を受診します。
例えば接骨院では、そのような患者さんに対して次のような施術を行います。
・痛みの原因を特定し、包帯やテーピングなどを使用して患部の安静を図ります。
・骨折、脱臼などの損傷に対して応急処置として徒手整復(もとに戻す操作)を行います。
・スポーツ動作で痛めた部位に対して、評価を行い、施術を行い患者さんのもつ自然治癒力を高めます。
・ケガの再発を予防するために、練習量の調節、筋力トレーニングや体の使い方の指導を行います。

(例)
陸上選手のふくらはぎの肉ばなれ
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急性期はアイシングや圧迫包帯で患部の安静を図り、徐々にストレッチ、筋力訓練を行って競技復帰を図ります。
野球投手の肩の痛み肉ばなれ
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急性期はアイシングや圧迫包帯で患部の安静を図り、徐々にストレッチ、筋力訓練を行って競技復帰を図ります。
バスケットボール選手の膝の痛み
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着地動作時の身体の使い方などを指導し、膝に負担の加わらない方法を教えます。
2.救護現場でのスポーツ外傷に対する施術
救護とはスポーツ現場などで起こったケガに対して応急手当を行うことを言います。
柔道整復師はケガに関する知識が豊富で、ケガに対する施術を国から認められている資格のため、スポーツの試合などに呼ばれることが多くあります。 救護現場で手当の必要となった選手に対し、安全を確保できる場所へ移動させて痛みの原因を探り、適切な施術を行います。
例えば救護現場では、痛みの出現した選手に対して次のような施術を行います。
(例)
サッカー中に転倒し足首をひねった
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痛みの部位がどこにあるかを確認して、損傷部位を特定し、損傷に応じた固定を作成します。
バレーボール中につき指
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指のどの組織が損傷したかを判断し、重症度によっては医療機関への受診を促します。
マラソン中の膝の痛み
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アイシング、テーピングなどの処置をした後、ランを継続して良いかを判断して、選手にアドバイスします。
3.トレーナー現場などでのケガ予防指導
トレーナーとしてスポーツチームなどと契約している場合は、主にケガの予防を指導することもあります。
監督やコーチと連携して、体幹強化などそのチームに必要なパフォーマンスアップのための指導を行います。
指導内容には次のようなものがあります。

・選手の体力や身体機能を高めるためにトレーニングメニューの作成やトレーニング方法の指導をします。
・競技パフォーマンスを最大限に引き出せるよう、試合や練習前後に選手のコンディションを整えます。
・ストレッチなど、筋疲労の改善やケガを予防できる身体に整えるための施術や指導を行います。
4.柔道整復師を目指す人にはスポーツ経験者が多い
実は、自身がスポーツによるケガでの苦い経験を持つ柔道整復師は大変多く、米田柔整専門学校の在校生の多くもスポーツ経験者です。
数週間~数か月、長い方だと数年間ケガなどが原因で試合から外されてしまうこともあり、その辛い時期の経験から「同じような思いをしている選手を助けたい」と興味を持つ方が多いです。
実際に接骨院へ通院したり、スポーツ現場で柔道整復師と関わったりすることで、仕事の内容に惹かれることも多くあります。
単純に体(ケガ)だけをみるのではなく、選手や患者さんの気持ちを汲んで細やかにサポートしていくことができる柔道整復師という資格は、今後もスポーツとの深い関わりが期待できます。